人類の未来を予見しまくる人物、それがハラリだ。
ハラリの言うことには、大きく頷かされることが多い。
だがしかし、ハラリの話を聞いたあとはいつもなんとなくスッキリしない。
聞いて納得はするのだが、「結局今からなにをすればいいのかよく分からん」という状態になるのだ。
ハラリサイドは承知の上なのだろう。
ハラリはいつだって「こうだからこうした方がいい」と具体的には言わない。
過去から現在までを説き、「よりよい未来へ向かうにはこんな考え方が必要だ」ということをエラくザックリと言う。
授業の中でも、
「宗教」は「答え」を示すもので、「精神性」は「問い」を投げかけるもの。自分は信仰心は薄い方だが精神性の高い人間だと思う。人類に必要なのは精神性でかかわり合うこと。
と(だいたいザックリそんなようなことを)言っていた通り、人類の精神性に訴えかけているのだ。
ハラリはハラリ気味に問いかけ、「答えを出すのはあなた方ですよ」と、ハラリ顔で我々の返事を待っているのである。
人類繁栄の最大の要因は、「フィクションを信じる力」であるとハラリは言う。
私とともに授業を受けていたタジキスタン人の女子がハラリに問う。
「信仰心の厚い両親に、(ハラリの漫画版サピエンス全史にある)宗教はフィクションだという考え方を伝えたところ、『私たちの信じる神がウソだと言うのか!?』と、食卓がどエラいムードになったんですけど、どうやって折り合いをつければいいですか?」
ハラリは答えを示さない。
問われてもなお、問うのである。
「イスラム教徒は、ユダヤ教やキリスト教のことを『あんなものはインチキ宗教だ!』と言う。キリスト教徒はイスラム教やユダヤ教をインチキだと言う。このように、それぞれが自分の信じる神のみが真実でそれ以外はフィクションだと思っていませんか?」
問いへの問い返しによる気づきから、我々自身が答えを探し辿り着く必要があるのだ。
なんとも面倒臭きハラリの精神性。
ただ、我々に答えを探す旅を促すだけではなく、道中で道を外れそうになれば、答えに続くルートに戻してはくれる。
「人間の愚かさを決してみくびってはいけない」
おそらく、今このコロナ禍でハラリが最も極太明朝体で真剣味を漂わせつつオレンジ色の縁どりでエモみも強調して伝えたい言葉なのだろうと不思議と感じた。
同時に、「愚かな人類にこんなに回りくどく直接答えを示さずに、自ら考え、行動を促し、答えに辿り着くように導いても、愚かな人類はこの手の番組を見ないし、たとえたまたまチャンネルを回しても一瞬で変えるだろう」とも。
愚かな人類は、ハラリの警鐘を警鐘と理解することはない。
つまり、ハラリの自他ともに認める絶大なる精神性を持ってしても、愚かな人類はひたすら愚かなままなのだ。
何度答えに続く道に導いたとて、欲望のままにフラフラと奈落の底へ向かうのが愚かな人類。
我々生徒のみならず、そう説くハラリさえも、人類の愚かさをみくびり倒していたのである。
しかし、ハラリ一人にすべての愚かな人類を導けというのは酷な話だと私は思った。
せめて各国に一人のハラリを置きたい。
幸い日本には、カラテカ矢部といううってつけの人物が比較的ヒマそうにしている。
カラテカ矢部は、黒のタートルネックに若干イモ臭いシルエットのジーパンを履かせて舞台上のスクリーンの前に立たせれば、スティーブ・ジョブズにだって見える。
見た目による精神性のポテンシャルは相当に高い。
答えを知っているのに意地でも教えないハラリとチンチンをもんで立っている矢部が、ほっといたらボトボトと奈落の底へ落ち続ける愚かな人類と大家さんを救済する物語「大家さんと僕とハラリと愚かなる人類」のメガヒットにより、輝きを取り戻す地球の未来が私にはありありと見える。
2020.12.11わざわざ追記→ツイッターで見かけた、かもめんたるの岩崎う大氏のハラリ感もなかなかのものである。
キングオブコント2013王者・かもめんたるに聞いてみた 「どうして優勝してもブレイクできなかったんですか?」
— 文春オンライン (@bunshun_online) December 9, 2020
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